[ことば] 「他力本願」が示す「依頼心」とは
05/28/2002 12:49 (投稿者：たかの)

朝日新聞asahi.comより「他力本願の広告でオリンパスに抗議」。なんでも、浄土真宗の１０の宗派でつくる「真宗教団連合」というところが、オリンパスの「他力本願」という言葉をモチーフにした新聞広告にクレームをつけたらしい。 また言葉狩りかよ！もういいかげん腹たってきたので、ここ（Snap.Shot）にも「ことば」セクションを新設し、テッテーテキにやっつけることにする。

そもそも真宗教団連合の意図するところは何かというと、浄土真宗本願寺派 鹿鳴山 願生寺の「私的研究室」というコーナーにある「往生浄土の問題」というコーナーから引用させてもらうことにしよう（他力本願ではあるが）。 つまり「他」とは、私から見た他（阿弥陀仏）の意ではなく、阿弥陀仏から見た他（この私自身）を指し示す言葉なのである。また本願力とは、私が願うに先立って、私の心に来たって、私を救済し続けている力であるといわれている。そうすると、二では、私が本願力を信じる心を他力というのであるが、すでに私の心に来たっている、その力を私の心の全体で信じることができたとすれば、私の心は、完全に本願力と一体になっていることになる。本願力が他力である以上、その他力と一体となっている信心もまた、他力であることはいうまでもない この引用ではサッパリ分からないぞ(汗)。他力本願とは信心によって「他」（自分）の力を引き出すことであり、決して他人の力をあてにすることではない、と言いたいのかな。 でも、一般的な意味がすでに仏教用語から離れて一人歩きしていることは、大辞林の例を持ち出すまでもないよね。 「他力本願」が否定的に使われるようになった理由なぜか。そのヒントは和英辞典に隠されていた。英訳すると「salvation by faith（祈りによる救済）」というらしいのである。英辞郎に至っては、これに対する「salvation by own efforts（自力本願）」なんて見出し語もあるくらいで、これでは「祈りなさい、さすれば救われるであろう」くらいの意味しかとれない。 つまり「願」と「本願」が違うのだということは、仏門に明るい一部の人間には分かっても、翻訳家のような一般的な「ことば」に明るい人間には理解されていないということだ。 これと同じ話を、僕らはしょっちゅう耳にしているとは思わないか？ …そう、「ハッカー」と「クラッカー」の話。 仏門に明るい狂信的ハッカーであれば「我々はハッカーであるけれどもクラッカーではない」と主張するだろう。けど多くのハッカーは、（自分が破壊活動はしないと分かってもらえれば）そんなのどっちだっていいと思っているし、ましてや「多くの門徒の心を踏みにじる」なんて、恥ずかしくてとても言えねーよ。 だから宗教は嫌いなんだ、…と無宗教の身でゆったりすると、あらゆる宗教のヒトを敵にまわすことになりそうなので、このへんで勘弁しといたろう。狩っちゃやーよ。

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• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  05/28/2002 20:05 (投稿者：たきざわ)
  

  まいど。浄土真宗ではないけど、仏教徒的にはサラブレッドだったりします。 ] そもそも真宗教団連合の意図するところは何かというと、浄土真宗本願寺派 鹿鳴山 願生寺の「私的研究室」というコーナーにある「往生浄土の問題」というコーナーから引用させてもらうことにしよう（他力本願ではあるが）。 なんでこんなに分かりにくい例を挙げるのかな？ こことかここを見れば分かりやすく書いてあります。 後の方の例を見てもらえば分かるように、この言葉は浄土真宗という宗派にとっては教義の根幹にあたる部分なので、その解釈についてはそのつど正している模様。 ＃以上、事実の羅列 自分たちの教えを否定することになるから、ある意味当然でしょう。 自分と考えが違うのは仕方ないとして、こういう背景を理解した上で発言をしないと、コーランを燃やすような所業に及ぶ危険性もあると思われ。

  
  
• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  05/28/2002 20:17 (投稿者：たきざわ)
  

  一つ忘れていました。 「ことば」という観点からすると、本件は語彙をきちんと調べずに使った、もしくは一度言葉にしてしまったものについて何の議論もせず逃げてしまったオリンパス側に問題があると思う。 「一般的に使われて、認知されている」と突っぱねることもできたはず。どんな言葉だろうが、自分が表に出したものにきちんと責任を取れば、こんなことにはならないだろう。 筒井康隆の断筆事件も、そういう趣旨で行われたものだということを忘れてないか？

  
  
• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  05/30/2002 10:02 (投稿者：ishimoto)
  

  ] そもそも真宗教団連合の意図するところは何かというと、浄土真宗本願寺派 鹿鳴山 願生寺の「私的研究室」というコーナーにある「往生浄土の問題」というコーナーから引用させてもらうことにしよう（他力本願ではあるが）。 私もこれは「言葉狩り」とはよめないなぁ。むしろ「迷惑メールをSPAMと呼ぶのはやめてくださ〜い。おねがいですからぁ」と泣いている、不幸な缶詰メーカを連想しました。このケースでは言葉の意味を訂正しただけで、狩ってはいないですし。「言葉狩り」ってのはもっと無知性・無分別・脊髄反射的に特定のキーワードを消滅させればすべて良し、といったヒステリックな行動に使ったほうが適切だと思う。 ] だから宗教は嫌いなんだ、…と無宗教の身でゆったりすると、あらゆる宗教のヒトを敵にまわすことになりそうなので、このへんで勘弁しといたろう。狩っちゃやーよ。 たかのさん、弱すぎ(^^;;;テッテーテキはどこ行った。

  
  
• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  05/30/2002 12:59 (投稿者：アオキ)
  

  俺も宗教は信じていないし、 一般的に使われている言葉ならそのまま使ってかまわないと思います。 それに、この信者さんの反応も無宗教主義者から見れば過剰反応しすぎとも感じますが このことで信者さんを攻撃するのはそれもまた過剰反応しすぎと思うのですが… 「ハッカーとクラッカー」の話にしても何にしてもその言葉の本来の意味を身近に感じる 人から考えれば、その言葉が誤用されている場面に出くわしたときに余りいい思いはしないはずです。 ましてやそれが第四の権力たるマスコミで使われたりしたときには言わずもがなです。 そして、その不快感は実際に態度に表さないと相手には伝わらないし不快に感じていることすら 気づかれないのだから、この信者さんの行動はある意味当たり前だと思います。 俺自身も 「クラッカー」のことを「ハッカー」と言われる場面や 「列車」のことを「電車」と言われたりしたら不快に感じますから… ちなみに某「軍版」を見ると、 「軍艦」のことを「戦艦」といわれると不快に思うらしい…

  
  
• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  05/31/2002 12:32 (投稿者：たかの)
  

  あー、ゆっくり滝さんとの直接対決書こうかと思ってたんだけど、なかなか筆（キーボード）がすすまんので、はしっこに逃げ腰で書くっす。 元記事に対する唯一の読み違えは、真宗教団連合がとった行動は「抗議文の送付」であり、広告の差し止め請求や不買運動では無いっちゅーことですね。「広告の表現は多くの門徒の心を踏みにじる」にヤラレました。朝日記者の見えない作為に引っかかったやもしれん。 ただ、 ] そして、その不快感は実際に態度に表さないと相手には伝わらないし不快に感じていることすら ] 気づかれないのだから、この信者さんの行動はある意味当たり前だと思います。 これはちょっと承伏できないぞ。 ・電車やバスに乗っていて、携帯をマナーモードにしていないとむかつく。 ・そればかりか、iモードでもむかつく。 ・電車の中でパソコン使ってるのむかつく。だって俺もってないし悔しい。 ・そこのオヤジ、息くさい。こっち来るな。 言わなきゃ本人気づかないかもしれないけど、いちいち言う？俺は言うほうがおかしいと思う。 理解される可能性が薄い相手にぶつけて、なんでわざわざ争いのタネ増やすかね。 話を元に戻すと、「他力本願」が既に多くの場所で「誤用」されてるのは事実（この認識はいいよね）。 それを「俺たちは今までこう使ってたんじゃー、勝手に悪い意味で使うなー」って言われても、「そんなの知らねぇよ」というのが普通の反応だと思う。 「ことば」は相手あって初めて成立します。日本において「WWW（ワールドワイドウェブ）」が「インターネット」という誤用にヤラレまくりながら、それでもちゃんと会話が成立するように、「他力本願」の（悪意のこもった）誤用も、誤用した人間同士でちゃんと（悪意を持って）成立します。 大事なのは、親鸞聖人の教え（他力本願の考えかた）なの？ 「他力本願」ということばなの？ どちらが大切かを考えたら、取る行動も変わってくると思うんだけどな。 少なくとも、真宗教団連合のウェブには抗議の趣旨文くらい載せといてくれなきゃ言い分だって分からんっちゅーねん。 それを言い出すと、もっと可哀想なのはSPAMだよね。自社の看板商品（もう違うかもしれないけど）が、こんな悪い意味にとられるとは涙ちょちょぎれですわ。最初に言い出したヤツ見つけ出して、頭ひっつかんでミンチにしてSPAM缶にしたい気分だろうなぁ。 「ことば」だけ狩っても全くもって無意味。 ] 「列車」のことを「電車」と言われたりしたら不快に感じますから… ] 「軍艦」のことを「戦艦」といわれると不快に思うらしい… これ、字が違うのは分かるけど、そんなに（不快になるほど）違うものなの？ いよいよサッパリですわ、宗教より性質が悪い。 p.s. わしも右本さんの「原理主義的反原理主義主義」の仲間に入れてもらおうかしら。

  
  
• Re: 「他力本願」が示す「依頼心」とは
  06/10/2002 18:24 (投稿者：salal)
  

  本願寺派の宣伝かなと思った。 横滑りするが「無学」という言葉も、本来の意味は「もう学ばなくても良い程何でも知っている」という意味らしい。 寺に行って説教を聞くのが好きなもんで、こういう話題は「へ〜。。そんな意味があったのね」と。 早速この言葉を好きな友人に教えてやろー。 ここでは何というのか分からないが、こういう話題を取り上げてくれた方にお礼をもうしあげまする。