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[法律] ディープリンクと著作権
03/18/2003 20:46 (投稿者:たかの)

ご無沙汰です。ダラダラ書くつもりはないので手短に。
まずは「産経×連邦」を読んで。要は、個人サイトである「連邦」に対し、産経新聞社の営業部のエライ人から「やめてけろ」って連絡が来たと。
私ゃなんでこれが大騒ぎになるのか分からないが、とにかくその方面では話題になっているようで。

私ゃ法律の専門家じゃないが、ディープリンクが法的に問題ないであろうというのは想像に難くない。
もちろん実際に争ってみないことには分からないけど、コメットハンター事件トータルニュース事件のケースと異なり、通常のリンク行為は原著作に何ら改変を加えてはいない訳だから、原著作者の損害を成立させるには無理があると思う。

ところが、これはウェブページをどのような構成物として解釈するかで変わる(可能性がある)。具体的には、別々のURLで個別に参照可能な複数のページは、「サイト全体でひとつの著作物である」という解釈もできなくはない。そうすると、特定のページを直接指し示す行為は、「新聞の特定の記事を切り取ってコピー配布する行為」に準ずるという解釈もできるだろう。
いや、もちろんネットに詳しい読者諸氏なら「そんなバカな」って思うだろう。URLを直接叩けば特定のページが開くのは当然。というか、そういう目的でURLは成り立っている。
けれども「URLを直接叩く行為を当然と思っていない人間」が司法判断をしたら、どうなると思う?
そう、どっちに転んでもおかしくはないのだ。

これを論点にしたくなかったので、各新聞社間では「お互いにリンクはトップページに行うべし」って談合で取り決めていたらしい(って噂を聞いた)。
つまり、法廷であえて決着をつけずに線を引かないことで、お互いの権利を守ろうとしたのだろう。法廷で決着をつけてしまうと、事実上これは確定事項となる。五分五分の勝負を挑むよりは、暗黙の了解で手を打っておきましょうというわけ。
この判断には、実は私も賛成だ。なにより都合がいい。もし法廷で決着をつけた結果、報道会社がこぞって会員制のクソクローズドサイトに移行したらどうだ?
技術的には可能なのだ。それをやらないのは便宜上、つまり相互利益を考えてのことである。

連邦側の主張で絶句したのが『産経関係のディープリンクが完全に禁止という事が「超おおやけ」になった場合、産経さん自身のページビューが減るような気がする』って意見。
アンタさ、そりゃオマエが気にすることじゃないっての。相手は「やだ」って言ってんだ、素直にやめるか、あるいは「リンク張らしてください」って言やぁいいじゃないか。

asahi.comYOLは記事の寿命を極端に短くすることで、ディープリンクを許容する代わりにリンクの価値を下げている。
Sankei Webではディープリンク(表向き)禁止することで、自サイトへの滞在時間が長くなるようにと目論んでいる(のだと思う)。
受益者である読者のコストはタダかもしれないが、提供者のコストはタダじゃないのだ。だから権利を守りつつサービスするための道を必至んなって模索している。その意向を踏まえずに権利を振りかざすなら、「しょうがないから法で線引いてもらうか」という結論にならざるをえない。
そう、結論を出すことは、誰の得にもならないのだ。

クリッピングサイト諸氏は、そのへんよく考えてもらいたいものです。「人を恋する自由を認めるからといって、ヒジ鉄を食らわせる自由を放棄するものではない」のですよ。

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