冒頭から踊る「国策捜査」の文字は、本編を通し「国家とは何であるか」という問いとあいまって、重く鎮座しつづけます。
『「二人とも、立場をわきまえてください。一般の人が見ていたらどう思いますか。いい加減にしてください」
西村氏も私も返事をせずにその場を離れた。普通の検察官ならば先輩検察官にペコペコ頭を下げるのであろうが西村氏はそれをしない。職人気質なのだ。』
『結局、私は西村氏と一度も握手をしなかった。なぜならば国策捜査というこのゲームで、西村氏はあくまでも私の敵で、敵と和解する余地が私にはなかったからである。しかし、西村尚芳検事は、誠実で優れた、実に尊敬に値する敵であった。』
本編から適当に拾ったフレーズひとつとっても、佐藤氏の「信」の一字が見え隠れして、小気味よいです。
今はもう2006年。24年後が楽しみですね。
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