一方で、杓子定規な経済評論書とは全く一線を画した、とても読みやすい読み物でもあります。
著者であるバーバラ・エーレンライクは元タイム紙のレギュラーコラムニスト。当時、御年60歳にもなろうという彼女が、実際にワーキング・プアの生活を体験してみたらどうなるかという、昔ながらの「体験潜入ルポ」。
そこには村上龍みたいな聞きかじりの安っぽさは存在せず、ただただ現実が現実として書き綴られています。
ワーキング・プアという問題の本質がどこであるかについては、僕自身すでに気づいていたこと。
なので、この本の内容は僕にとって後追いでしか無いのですが、それでもグイグイと引き込まれて読んでしまったのは、筆力もさることながら、そこに描かれる世界について、あらためて考えさせられるものがあるからでしょう。
この問題について、僕がしているささやかな抵抗がいくつかあるのだけど、書き連ねるのは嫌みったらしい気がするので、ひとつだけ紹介しておきます。
それは、お金を出してモノを買ったりサービスを受けたりするときには、必ず「ありがとうございます」もしくは「ごちそうさまでした」と言うこと。
というのは、そのモノやサービスは、僕が提供する立場だったらまず間違いなく出せないプライスだから。
これだけは、多少態度が悪かったり味がマズかったりしても、決して忘れないようにと思っています。(けっこう忘れちゃうんだけどね)
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