Snap.Shot.cx

[雑誌・書籍] あなたのTシャツはどこから来たのか?
02/13/2007 07:27 (投稿者:たかの)

原題に "The TRAVELS of a T-SHIRT in the GLOBAL ECONOMY" とあるように、これグローバル経済の入門書ともいうべき内容。
でも入門といって侮るなかれ。柔らかさを感じる書名と、冒頭の「さぁ、鬼ごっこを始めましょう」というフレーズからは想像もつかないくらい、骨太な本です。
訳者あとがきの、今井章子さんのコメントから抜粋する。

「いつの世のどの国でも、自分の生き方を守るために懸命に戦う労働者や活動家がいたし、最良・最適・最安を求める完全競争を信奉する企業人もいた。それは善悪の二律論で判断されるべきではなく、社会とは両者の健全な緊張関係によって少しづつ改善されてきた歴史の積み重ねなのだということを、著者は見逃さない。」

グローバル経済といいつつ、この本の主題は繊維産業の一部に焦点を当てたにすぎません。
しかし繊維産業が、産業革命の起点に位置する歴史の長い産業であること、そしてまた日本にとっても経済成長の黎明期を支えた産業であることもあいまって、私たちの想像力をかきたてるのに良いテーマであると感じました。
そして、これは経済に留まる問題ではなくて、経済と政治、そして選挙と民主主義とは地続きで、密接に繋がっているのだとあらためて痛感しました。
愚民政治だなんてとんでもない。それは、各々の時代の人間が必死に選択を繰り返した「成果」であると。
間違っていたことを後世の人間は笑うかもしれないが、今を生きる人間にとっては「学び」の過程にすぎないのだと、少し反省。

ただ一点だけ難を言えば、これは日本版の副題。
「誰も書かなかったグローバリゼーションの真実」
ってコラーッ!
そりゃアンタが知らなかっただけだろうがーッ!(桜塚やっくん風に)

メールでコメント

(Powered by Zope)
リンクはご自由にどうぞ。各記事には記事番号がついていますので、URLは変わりません。
© 2000-2013 Yukimasa TAKANO, all RIGHTs reserved.