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[サービス] ネットは馬鹿と暇人{も使っている}もの
10/17/2009 11:08 (投稿者:たかの)

僕がインターネットに初めて触れた1995年頃、その前…つまりベッコアメやリムネットよりも前からインターネットを使っていた人からは、こう言われたものだ。
「くだらないページが増えた」
今思えば、その主旨はよく分かる。それ以前の接続者は大学や研究機関、それに企業の研究開発部門などが中心だった。それまで学会誌などで、何ヶ月も経たのちに他の研究者の成果を目にしていたことを考えれば「すぐに」「いつでも発表できて」「いつでもできる」インターネットに、かなり高価なコストをかけても十分に見合ったことは疑いようもない。
しかも、そのコストを下げるための研究そのものでさえ、そのインターネット自身を最大限活用し、世界をまたにかけて行われていたのである。

そんなところへ、ベッコアメやリムネットや、さらに安価なダイアルアップ回線経由で、僕らのような人間が大量に乗り込んできて、日々のメシだとかゲームだとかパチンコ(注:俺の場合です:-))だとか、とにかく狭ぁい視野のしょっぱい娯楽について書いたコンテンツを大量に投入しはじめたもんだから、それまでの人間が眉をひそめるのは当然のことだと、今になって思う。

しかし、同時に思う。
僕らのそんなくだらないコンテンツと、そんな彼らの「深い」コンテンツとが、何喰わぬ顔でわけへだてなく並んでいることこそが大事なのだと。

そうでなかったら、北海道の片隅の教育大学で、他校との交流もなければ共同研究も無いような学生生活を過ごした僕が、今こんな生活を送っているはずがない。
根気強くコーディングをする(※)一方、金融や法律や哲学の書籍へ手を伸ばし、年に一度は沖縄旅行(最後に行ったのは3年も前のことだけど)なんてところに辿り着いていたりはしないだろう。
そしてそのはじまりは、馬鹿と暇人がくだらない遊びに興じているすぐ横で、黙々と「面白いこと」に精を出している人のことを、たまたま目にしただけにすぎない。
もちろん、僕にも「面白い」と思えるようになるまでには、かなりの年齢を重ねる必要はあったけれども。


…と、そんな昔話をつい書いてしまったのは、僕も冒頭のひとと同じセリフ
「くだらないページが増えた」
を吐きたくなるようなサイトを見かけたので…

Clickclickclick.com
ClickJapan

いや、正確には僕が吐いたセリフはこうだ。
「これは、ひどい」

おそらく企画発案者であるだろうイギリスの暇人は、そもそもHTTPプロトコルやインターネットの仕組みも全く知らなかったのだろう。
その尻馬に乗った各国の暇人で、とくに日本とハンガリーのダメ人間が、機械的にクリックさせるツールを高度化させるところに注力したことで、逆に盛り上がりを見せた(のか?)
技術的な背景を少しでも知る人間からすれば、この行為そのもの自体が、まったくもって何の意味もなさないことを知っているだろうし、まだチートを加える余地がいくらでもあると分かるだろうし、そして分かっていてもくだらなすぎて時間をかける気にもなれないだろう。

それでも少し経って思い出したのだ、僕自身の経緯を。
この行為そのものはどれだけ意味が無かろうと、これに実際に参加してみて、Windowsソフトウエアの仕組みや、HTTPプロトコルや、インターネットの仕組みを知るきっかけになったら。
あるいは、日本以外の国の人と、日本語意外の言葉で会話するきっかけになったら。
それは実際に参加した「元・暇人」にとって、どれだけ大きな変化になるか分からないな、と。


もちろん、ただクリックするだけの本当の馬鹿と暇人でしかない人は、そのうちに飽きてしまい、何の変化もないまま終わるだろうけど…
でもいいんですよ、役にも立たずに笑って死ねれば十分です:-)


いちおう補足だけど。
既に当時、fjというネットニュースは立ち上がっていたはずで、多くの奇人が既に毒電波を発しはじめていたはずだし、
米Yahoo!の検索上位キーワードは「porn」関連の単語で占められていたはずだし、
ニフティサーブもインターネットの接続実験を開始していたはずです。
インターネット上にくだらないコンテンツが存在「しなかった」わけでは決してないと思います。
もちろん、そんなくだらないことに使うには、かなり高価だったと思いますけどネ:-p


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※それも複数言語で。僕が学生時分の頃は、そもそもプログラミング言語自体が発展途上で、あまり選択の余地もなければ良いサンプルも無かったのだ!!

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