どうもレベル低そうな匂いを感じ取ってしまい、けっこう及び腰だったのだが、参加者のレベルも実際その通りだったようだ。つまり、「○○をやると著作権違反になるんですか?」「著作権違反にはどんなペナルティがあるんですか?」という程度で参加してきているみたい。そんなんはちょっと調べモノをすればすぐ分かることで、それならわざわざセミナーに出向いて話を聞くほどのことでもない。
あとで分かったのだが、このセミナーは行政書士さんの企画によるもので、実際企画した側もそれくらいのレベルだったみたいだ。もちろん、企画した方々は「その調べモノ程度」の知識を既に持ってはいるのだけど、それより先は未知という感じ(これは技術的動向に疎いということにも起因するみたい)。
ところが講師として招かれたACCSの課長さん(ついついセンセイと呼んでしまうのだけど)は、なかなかのツワモノで、最近の技術的動向に詳しいことは勿論、それに対抗するために何が必要か、ということを考えている。センセイ個人の考えも聞いたりしたのだけど、これはあくまで「個人的な考え」という前置きをされたので、オフレコということにしておこう。
実は自分はACCSというのはJASRACみたいに権利主張ばかりを振りかざす団体みたいに考えていて、あまりいいイメージを持っていなかった。もちろん協会としてのスタンスはそうなのだけど、現場レベルではちゃんと見据えている、というのはどこの世界でも同じらしい。
本当は3:00pmよりのスタートだったのだけど、実は1時間半も遅刻してしまった(講演にはあまり期待していなかったというのもある)。うーん、失敗した。
知らなかったのだけど、最近の著作権法は法改正で「送信可能化権」というのができたらしい。これはネットワーク時代に対応したもので、たとえばホームページ上などの「一般に配布する環境を提供している」時点で権利侵害として立件できるようにしたものだそうな。今までは実際に不法利用されているところを押さえなければならなかったのだけど、ネット上だと実際の転送を抑えるのは難しいためにこういうのが考えられたらしい。
あと話は逸れるのだけど、著作権(著作物)を有価証券と同じように担保として押さえたりカネを借りたりする動きもあるのだとか(このへんは行政書士さんならではの話ですな)。ただこうなると税制上もややこしくなる。もともと製造原価としかみなされなかったものが、資産とみなされることのなるので税金がかかってくるのだ。このへんはハード系R&Dの「研究開発資産」に準ずる扱いになってくるのだろう。
すごい世の中になったものだ。
あとは、米国方面で著作権の期限を死後70年に延長しようとする動きがあるらしい。これで利益があるのはただ一社、ウォルト・ディズニーで、実はディズニーの著作権はあと数年で切れてしまうらしい。「著作権ってのは会社が継続的に利益を上げようとするためのモンちゃうし、そりゃ違うんちゃうんかー」という話が出ていた。
もともと「著作権」という権利の原則は、独占とかそういう類のものではなく、「著作者の利益を保証することで、さらなる創作活動を促進すること」なのだそうだ。逆に言うと、50年という期限で「切れる」というのも、またその原則に基づいていて、権利が留保されることによって創作活動に支障が出るようでは困るのだ。
言われてみれば当たり前なのだけど、目からウロコであった。
ともあれ、勉強させていただきました。ありがとうございました。
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